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英国は、金融規制案をまとめたターナー・レビューで「トレーデイング勘定への資本負荷の劇的な変更が基本だ」と指摘。
銀行勘定とトレーデイング勘定で取引される資産の明確化、トレーデイング勘定のリスクを算定する際のストレス時などにも対応できる厳しいリスク量の評価、流動性リスクの考慮などをしたうえで自己資本を積ませることを求めている。 国際規制として、パーゼルEの実質的な抜け穴になっているトレーデイング勘定悪玉論が強まり、パーセルI員会は2009年7月に「トレーデイング勘定にかかわる資本に関するガイドライン」をまとめた。
トレーデイング勘定は通常のVaRに基づく資本の負荷が定められているが、今回の金融危機ではそのモデルが適合しなかった。 そこで、ストレス時のシナリオに基づくVaRにも対応することを求める内容だった。
パーセルIの発表を受けて、欧州委員会は自己資本比率規制に関する見直し案を示した。 その中で、ストレス時のVaRを勘案するパーセルIのトレーデイング勘定への自己資本の負荷によって、トレーデイング勘定への自己資本負荷が現行のおよそ2倍になることを明らかにした。

サブプライムローン問題から2年を経て、ようやく危機防止策の具体的な数値規制案の一端を示した。 ただ、これでカジノバンキングが防げるかは不透明だ。
従来の銀行のトレーデイング勘定に対する見方は、ほとんど規制のない抜け穴というものだった。 当局者のあいだでさえ、最低でも数倍(セパラルタイムズ)の規制強化が必要との声は根強かった。
トレーデイング勘定は銀行勘定とは違うという理由で資本の負荷を低くすれば、金融機関がさまざまな理屈を並べ立てて取引をトレーデイング勘定に移すことは、この数年の実績が証明している。 当局が実施しなければならないことは、トレーデイング勘定が抜け穴にならないような銀行勘定並みの自己資本負荷を課して、規制アーピトラージを防ぐことにほかならない。
自己資本の負荷を2倍にするのは進歩ではあるが、十分ではない。 当局や国際的な銀行規制が信頼を取り戻すには何が必要かという視点に立ち返って、規制を再構築する姿勢が求められている。
儲ける金融を推し進めたのは、パンカーの欲だった。 儲ければ儲けるほど報酬が上がる仕組みは、役職員を仕事へと駆り立てる誘因になるが、一方では儲けるための手段を選ばなくなる。
利益のために普通の人が返せないようなローンを組ませたり、それを理解できないような商品にして投資家に売り付けたり、といったモラルの低下が横行した。 Mの救済を託されたJ・S氏は、2009年1月、堕落したPの熔印を押されメリルを追われた。
公的資金で資本注入された資金を、メリルの従業員の報酬に回したためだ。 住宅バブルにまみれたパンカーの倫理の低下を象徴する出来事だった。
J・S氏は、M工科大学(MIT)、H・B・Sを経てG・Sに入った超エリート。 Gでは社長にまで上り詰め、その後、ニューヨーク証券取引所のトップを務めた。
ウォール街を代表する金融人で、サブプライムローン問題で傷ついたメリルリンチの再建を託された。 9月、同氏はR・Bの経営危機を見て、資金調達力の弱い投資銀行の将来性を危倶し、(BOA) のK・R最高経営責任者(CEO)と交渉し、BOAがメリルを買収することで合意した。
買収価格は500億ドルで、メリルの価値を最大限引き出したのはさすがだといわれた。 米財務省は、金融安定化法に基づいてBOAとメリルに公的資金を投入した。
投入額は合わせて250億ドルにのぼった。 BOAによるメリルの買収が実行されるのは1月だったが、S氏はそれに先立つ、従業員に対し、自らへの3500万ドルを含むボーナスを支払う案を役員会に諮ろうとした。

その案が事前に発覚したため、自らへのボーナス支払いは見合わせたが従業員へのボーナスは支払った。 国民の税金である公的資金投入額100億ドルのうち、4割近くをボーナス支払いにあて、米国民を愚弄した。
第4四半期のBOAの損失は四億ドルにとどまったが、その後、メリルには買収時に明らかにしていた以上の153億ドルの損失があることが発覚。 損失を隠して買収合意し、その損失を買収後のBOAに付け回した格好になった。
本来、損失の穴埋めに使えるはずの公的資金は、すでにメリルの従業員にボーナスとして支払われ、半分強しか残っていなかった。 隠されていた損失処理のため、BOAは米政府に追加支援の要請を余儀なくされた。
さらにセイン氏が自室の改装に120万ドルを使い、1400ドルもするゴミ箱を備えたことも明らかになった。 それはウォール街を代表する金融人ではなく、公的資金の重みを全く理解できない金の亡者の姿と、米国民の目には映った。
助けてもらったBOAを裏切る格好になり、怒ったK・RCEOは、S氏を解任する。 それでも米国民の怒りは収まらなかった。

ニューヨーク州のA・Q司法長官は、メリルのボーナス支払いを「無責任の極み」だと非難。 ボーナスを受け取った従業員に返還を求めている。
ニューヨークやワシントンでは、金融機関の高額報酬を非難するデモが繰り広げられた。 実際、公的資金を投入された金融機関トップの報酬は、景気後退に苦しむ米国民からはかけ離れていた。
金融安定化策(TARP)で250億ドルの公的資金を投入された5金融機関のCEOの前年の年収を見ると、JPM・CのJ・DCEOがトップで2700万ドル。 BOAのK・R氏が2400万ドル、AIGのM・S氏の1400万ドル、W・FのJ・S氏の1200万ドルと続く。
同氏の就任は、前任のC・P氏は退職金を除き1000万ドルを大幅に上回る年収を得ていた。 米国民の怒りを目のあたりにしたO政権は、報酬の抑制に乗り出した。
2月には、TARPで公的資金を投入された金融機関トップへの報酬上限を○万ドルとした。 これを受けて公的資金を投入された金融機関は、公的資金の返還を急ごうとし始める。
FRBが5月に結果を公表した健全性審査で健全とされたG・Sが返済を希望するのはまだ理解できるが、追加の資本が必要とされたM・Sまでもが増資後に公的資金を返したいと表明した。 経営を悪化させた責任があるにもかかわらず、低い報酬を受け入れない経営者の醜さが浮き彫りになった。
欧米の金融監督当局は報酬問題を、トップの倫理の低さを表すだけでなく、金融機関をサブプライムローン問題に引き入れた主因と見ている。 報酬が過剰なリスクを取る誘因となったからだ。
報酬が過剰なリスクを取らせる構造は現場レベル、経営レベルと重層的に組み上げられていた。 サブプライムローンの供与が典型例だ。
銀行員の報酬は、ローンの供与額によって決まる。 ローンを出せば出すほど報酬が上がるので、その貸し倒れの可能性には目をつぶってローンを供与した。
供与したローンを集めて証券化商品を作り、それを投資家に販売したため、金融機関がローンのリスクを抱えることも回避できた。 それどころか、証券化商品を作って売れば売るほど金融機関の利益が膨らむ。
金融機関のサブプライムローン業務は、経営者にとっては低リスクで高手数料が期待できるため、自らの報酬を増やそうと同業務に注力した。

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